「ベトナム子ども基金通信No.35」より

1.2006奨学金授与式を開催
2.定期会員総会のご通知
3.鹿島小58年度卒業生から寄付
4.ベトナム子ども基金2005年活動報告
5.ベトナム子ども基金2006年活動計画(案)
6.理解の心と厳しい視線で
7.里子からの手紙
8.今井記念海外協力基金から助成金交付
9.事務局便り


2006年奨学金授与式を開催

 ベトナム青葉奨学会は2月26日、ホーチミン(HCM)市で奨学金授与式を行い、青葉奨学生のイェンさんと元奨学生のティンさんらが感謝と決意の言葉を述べるとともに、HCM市奨学会のハイン会長が青葉の業績を評価するスピーチを行った。授与式には、日系企業の笠原氏、在HCM市日本国総領事館の坪田氏が出席し、子どもたちを励ました。

■青葉奨学生あいさつ

グエン・タック・ハイ・イェン

 私の家庭は貧しく苦しい状況であったため、小学4年生に上がったときに、青葉ファミリーの一員として迎え入れられました。私が2年生のときに父ががんにかかり、会社を退職させられました。それにより、家族の負担は一気に母の両肩にのしかかったのです。
 小学校教員のわずかな給料と、地元行政からの父への補助金のみで、母は家族全員を養わなければならなくなりました。私たち姉妹を学校に通わせるだけでなく、さらには、父の薬の面倒も見なければならなかったのです。つまり、母にのしかかる負担はさらに大きくなったのです。母は今年、56歳になります。もう学校との契約は継続できません。年齢も高く、心臓の病も抱えているにもかかわらず、母は必死に働き、家族を養い、2人の子どもを学校に通わせているのです。
 この母の苦労に、青葉奨学会は温かい心で応えてくださり、学校を辞めなければならないとまで考えた、私のような貧しい生徒を助けてくださいました。さらに、学問の道を続けられるよう、すべての障害を乗り越えられる翼を私に与えてくださった、里親様のことは決して忘れることはできません。私を一生懸命ご支援くださいました青葉奨学会の先生方に、深く感謝申し上げます。何より、この何年もの間、子どものように私をかわいがってくださった、私の2番目の里親様に、心からの感謝の言葉を送ります。私の学業、生活環境を気に掛けてくださいました。私は自分が孤独ではなく、里親様、先生方、そして友人たち、皆に心配され、応援されていることを知り、本当に感動いたしました。
 青葉奨学会の先生方、敬愛する里親様とご家族の皆さまの、今年1年のご健康とご幸福をお祈り申し上げます。私は、両親、里親様、そして青葉ファミリーの先生方と仲間たち、全員の愛情に応え、私自身が今後、自分と同じような状況の子どもたちを両手で迎え入れる人間になれるよう、一生懸命に勉強することをお約束いたします。

(Nguyen Thach Hai Yen )


奨学生代表たち。左端はシラサキベトナムコーポレーション代表取締役社長の笠原重徳氏

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■元青葉奨学生あいさつ

グエン・カイン・ティン

 私は現在、ドンズー日本語学校2006年度留学生クラスに所属しており、8年間、青葉奨学金をいただいていました。自分が青葉ファミリーの一員であることを、大変誇りに思っております。小さな一小学生でしかなかったころから、優秀な成績で学校を卒業するまで、私が一歩一歩成長していく姿を、8年間にわたって青葉ファミリーは見守ってくれていました。
 私に奨学金を支給してくださったホゥエ校長と里親様に、心より感謝申し上げます。8年もの間、校長先生、先生方、そして里親様からのご関心を受けることができたおかげで、自分の人生にはまだたくさんの喜びと自信が待ち受けていることが分かりました。
 この奨学金は、私の学業に伴う私の家族の不安、苦労を軽くしてくれました。青葉ファミリーは、常に私たちのことをしっかりと見守ってくれていました。本当に、奨学金支給日は、毎回が新しい学びの日であり、新しい喜びの日でした。奨学金をいただける喜びだけでなく、それ以上に、同じ奨学生仲間に会い、共にレクリエーションを行えるからです。
 遅刻したり間違いを起こした生徒がいたときには、先生が間違いを正し、やるべきこと、やらなければならないこと、やるべきでないことを、厳しく私たち全員に指導してくださいました。これらは、私たちの今後にとって大変貴重な、礼儀についての教訓となっています。
 奨学金授与式には、皆さんとともに8回出席することができました。校長先生からのご指導を受け、皆さんとともに遊ぶこともできました。これらは決して忘れることのできない思い出です。ドンズープログラムの学生となった今では、私の奨学金もおそらく他の仲間に支給されていることでしょう。奨学生の皆さんが、先生方や里親様のお気持ちにふさわしい生き方をしてくださることを願います。
 私は現在、あらためて、日本に留学するための奨学金を受け取ることができました。青葉ファミリーが私の最初の支えとなってくれた人であるとすれば、ドンズーファミリーはまさしく、先生方からのトレーニングを受け、ミーティングの際には校長先生からのご指導をいただける、自分をさらに成長させてくれる場所と、私自身感じています。
 国中の各地から集まった仲間たちとともに、日本語、数学、物理、化学を勉強する以外にも、体を鍛えて、日本に行ってから仕事も学業もしっかりと行えるよう、男子も女子も毎朝マラソンと体操をしなければなりません。仲間たちは誰もが非常に良い人たちで、北部、中部、南部わけ隔てなく誠実に付き合い、地域の違いも、言葉による偏見もありません。こうやって仲間とともに過ごすようになり、彼らは家族と離れて暮らし、自分の力で生活しなければならず、非常に苦労していることが初めて分かりました。私は自分がとても恵まれていると思います。
 ドンズーファミリーの一員となり、私も仲間たちも、ドンズーの人間としてふさわしい生き方をするべく、3つの誓いを心に刻んでおります。それは、常に一生懸命勉強し、才能と道徳を磨き、そして、ベトナムをますます豊かにするべく、自分の能力を貢献させることです。

(Nguyen Khanh Tin)


奨学生に証書を授与する坪田樹理副領事

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■HCM市奨学会会長祝辞

グエン・ヴァン・ハイン

 青葉奨学会は、これまで活動の発展を続け、その結果、何万もの困難を抱えた生徒たちが、安心して勉学に励めるようになりました。これは、大変喜ばしい成果であり、同時に、先生方、ご家族、そして青葉奨学会代表でおられるグエン・ドク・ホゥエ先生の幸福、誇りでもあります。
 HCM市奨学会では、青葉奨学会による奨学金プログラムの結果を尊重し、高く評価いたしております。そして、この奨学金プログラムが今後も発展を続け、さらに多くの困難を抱えた子どもたち、特にへき地、少数民族地域の子どもたちにまで、支援が拡大していくことを期待いたしております。
 学生の皆さんは良い勉強方法、学習態度を身につける必要があるでしょう。それは、自分ひとりで考える力を持ち、探究心、創造力を高め、自発的に学ぶことです。さらに、学問と実行を関連させ、基礎知識を固め、学業の質を確かなものとしなければなりません。
 日ごろから道徳心、自分自身の生き方を磨き、体を鍛えてください。皆さんが、文化的態度を持った、親孝行で、先生を尊敬し、友人たちに誠実な、社会に役立つ人間に成長してくれることを願っています。麻薬や他の社会弊害に、絶対に手を出してはいけません。この場をお借りして、ご来賓の皆さま、先生方、学生の皆さん、ホゥエ校長ご家族皆さまの、新年のご成功とご幸福をお祈り申し上げます。

(Nguyen Van Hanh)


■定期会員総会招集のご通知

2006年4月15日

会 員 各 位

ベトナム子ども基金
代表  近藤 昇

定期会員総会招集のご通知

拝啓 ますます御健勝のこととお喜び申し上げます。 平素はベトナム子ども基金の活動に温かいご支援を賜りお礼申し上げます。 さて、下記の通り2006年定期会員総会を開催いたします。 ご多忙中恐縮ですがご出席いただきたく、ご通知申し上げます。 敬具

日時  2006年5月20日(土曜日)午後2時から4時
場所  アジア文化会館教室
    東京都文京区本駒込2-12-13
    電話 03-3946-4121(代表)
議題  1号議案 2005年活動報告
    2号議案 2005年決算報告及び会計監査報告
    3号議案 2006年活動計画案
    4号議案 2006年予算案
    スピーチ      ベトナム人留学生の課題
     Nguyen Khanh Tin(グエン・カン・チン)

 会員総会は会員の三分の一以上の出席をもって成立しますが、全国各地にいらっしゃる会員が総会にご出席いただくには大変ご無理な状況にあります。この現状から総会当日、ご出席できない方で委任状提出のない方は議長一任とさせていただきます。ご理解とご協力お願いいたします。
 なお、総会出欠はがきにご記入の上、5月16日(火)までに切手を貼ってご返信ください。

以 上


■鹿島小58年度卒業生から寄付

 茨城県鹿島町立鹿島小学校(現鹿嶋市立)を1958年に卒業した同窓生24人から、子ども基金10周年記念事業「黄梅基金」に35万8000円の寄付がありました。「募金のきっかけは、一昨年の同窓会の席上。これまでの会費余剰金が約20万円を超えたことから『還暦を迎える節目の年に、社会に役立ち記念に残るものを』と話し合った」(1月13日付毎日新聞)。茨城新聞(1月14日付)でも紹介されました。写真:募金を手渡す同窓会代表の3人(左から大里ミヨ子さん、塩入清さん、上久保敏子さん)と子ども基金の飯田事務局長、子ども基金茨城県支部の植田泰史事務局長(右端)。


■ベトナム子ども基金2005年活動報告

 ベトナム子ども基金はおかげさまで2005年6月3日、10周年を無事迎えることができました。会員皆さまのご協力に深く感謝申し上げますと同時に今後の温かいご支援を重ねてお願い申し上げます。05年はベトナム青葉奨学会に総額1048万6225円の支援ができました。内訳は青葉奨学生への奨学金として406名分440万45円と黄梅基金595万3680円です。黄梅基金はロンアン省ドンタイン小学校とベンチェ省ホアロイ小学校2校の建設が実現しました。学生たちは05年の新学期から新しい校舎で勉強しています。学校建設にご協力いただきました皆さまに厚くお礼申し上げます。黄梅奨学基金の預金利息から農村・漁村・山岳地域の恵まれない子どもたち400名に奨学金を支援しました。
 ベトナム子ども基金通信は31〜33号と10周年特集号の発行をいたしました。ベトナムの子どもたちが学業に精進している様子や子どもたちの将来に対する希望などが会員の皆さまにお伝えできたことと思います。
 今年も青葉奨学会に日本人ボランティア工藤由美子さんの協力がありました。青葉奨学会の運営や里子面会・交流会のお世話をしていただきました。ベトナム子ども基金が安心して活動できたのは青葉奨学会日本人スタッフのおかげと心から感謝申し上げます。
 05年10月3日から12月25日まで約3カ月間、青葉奨学会スタッフのグエン・ティ・ミー・リエンさんが来日し、日本で研修を行いました。今後の青葉奨学会の活動に期待いたします。
 05年の新規会員は21名、うち17名20口が里親基金の会員です。長いお付き合いを心からお願い申し上げます。
 05年収支決算のとおり、里親基金、一般基金の収入は大変厳しくなっております。今年も経費を削減し、青葉奨学会支援総額に対する経費金額を少なくする努力をいたしました。
 運営委員会は毎月第3土曜日に運営委員と会員の出席で開催されました。里子履歴票ならび里子の手紙翻訳はボランティアの皆さまのご協力で大変スムーズに行われました。感謝申し上げます。
 10周年を記念する05年が無事に終わりました。会員ならびに関係者の皆さまにお礼申し上げます。


■ベトナム子ども基金2006年活動計画(案)

 2006年は、子ども基金が受け持つ青葉奨学生(里子)400名が安心して学業に精進できるよう奨学金支援を継続いたします。黄梅奨学基金では農村・漁村・山岳地域の恵まれない子どもたち500名以上の奨学金支援を行います。学校建設黄梅基金では新たに6教室と職員室の小学校建設を予定しています。昨年建設しましたベンチェ省ホアロイ小学校の追加附帯設備(水道とトイレ)工事を行いホアロイ村の希望を実現させたいと願っております。
 第4回スタディツアーはハノイ市(北部)、ダナン市(中部)、ホーチミン市(南部)を訪問し、遠足に参加した青葉奨学生との交流会を行います。  ベトナム子ども基金通信は、青葉奨学生を中心にベトナムの教育事情について会員皆さまにお伝えできることを目標に発行いたします。インターネットによるホームページは子ども基金の実情が多くの人に紹介できるように継続更新します。
 過去10年ボランティアで日本人が青葉奨学会事務所に勤務しましたが、今年から日本語でお世話くださるのはベトナム人のミー・リエンさんです。よろしくお願いいたします。丸山明美さん、脇平裕美さん、高橋佳代子さん、土肥明代さん、工藤由美子さんには大変お世話になりました。あらためてお礼申し上げます。
 里親基金、一般基金、賛助基金の収入は大変厳しくなっております。経費予算を一段と削減し、青葉支援総額に対する経費割合を少なくいたしました。会員皆さまのご協力をお願いいたします。
 子ども基金は、ボランティアの皆さまのご協力で運営されています。里子手紙の翻訳、イベントへの参加、運営委員の皆さまには今後ともご協力お願いいたします。


■理解の心と厳しい視線で

工 藤 由美子

 この度、2年間の任期を終えて、無事に帰国することができました。子ども基金の皆さまには、私が青葉奨学会で仕事をするにあたって、多大なご協力とご理解をいただきましたことを、この場をお借りして、心よりお礼を申し上げます。また、ベトナムで多くの里親様にお会いできたことと青葉奨学会を通じて多くの貴重な経験ができたことは、私の大切な宝物だと思っています。
 ベトナムでの生活は、語学を学んでいた時期を含めますと、約4年になります。語学を学んだ後は、会社というよりは、ベトナムとより深くかかわることのできる仕事を強く希望しておりましたので、青葉奨学会で貴重な体験ができたことを大変うれしく思います。
 仕事だけでなく、ベトナムという場を通じて、日本では絶対に会うことができない方々と知り合うことができ、自分自身の価値観や日本という国を考え直す機会にも恵まれたと思っています。
 ベトナムでは、仕事においても日常においても、常に外国人という立場を意識し、頭の中では葛藤がうずまいていて、感情や感覚がいつもフル回転だったような気がします。何より、自分のこと見つめ直すきっかけになった4年間でもありました。
 私は、大学で社会福祉を専攻していたため、国際協力や支援について深く学んだ経験がなかったので、ベトナムにおいては日本人として理解し難い面も多々ありました。里親様の中にも、ベトナムに対して疑問をお持ちの方は少なくないと思います。ベトナムと日本は、国の体制や国民性、経済面においても大きく異なるため、簡単に理解することはできるはずもないのですが、理解の心と厳しい視点を持って、接していただければと思います。
 国内外を問わず、支援というものの最終的な目標は、相手側の自立にあると私は考えています。現在は、多くの里親様の協力によって、ベトナムの子どもたちが勉学に励んでいるわけですが、将来的には、ベトナムの人々が貧しい子どもたちを救える社会になることを願わずにはいられません。
 子どもたちの手紙を翻訳している中で、「里親様のようにベトナムの子どもたちを助けられる人になりたい」という手紙を目にしたときには、ついついうれしくなったものでした。子どもたちの中にこのような気持ちを育てるきっかけを少しでも与えることができたことに大きな成果を感じます。
 実際、青葉の子どもたちの生活環境は、まだまだ厳しい状況にあるわけですが、このような子どもたちにこそ、これからのベトナムを担ってほしいものです。私自身も、自分のできる範囲で協力できればと考えています。この2年間、子ども基金の皆さまには、大変お世話になりました。これからも、子ども基金のますますのご活躍を心よりお祈り申し上げます。ありがとうございました。

(前駐ホーチミン市スタッフ・くどう ゆみこ)

左から:工藤由美子さん、青葉スタッフのミー・リエンさん


■里子からの手紙

師範大学を目指して

グエン・ティ・アイン・ダオ

 里親様のお手紙を受け取ったとき、私はとてもうれしく幸せに感じました。私は8週間の試験期間がちょうど終わったところで、学年で1番になったんですよ!
 ベトナムで教師になるには、大学か短大に合格しなくてはなりません。今も教師になりたいと夢見ていますが、教師として働けるかは分かりません。ホーチミン(HCM)市では大学に合格することは大変難しいのです。各学校では教師がすでに足りているため、若い教師は学校を卒業しても教える場所がありません。そのような事情もあって各師範大学の合格基準点は大変高いのです。私の国では、一番高い基準点の大学は百科大学で、次いで医薬大学、第3位が師範大学です。
 大学入試には4つの選択科目群があります。A系は数学、物理、化学、B系は物理、化学、生物、C系は国語、歴史、地理、D系は数学、英語、国語です。教師になりたい場合、4つの系どれを選択しても構いません。私はA系にするつもりですが、あまり自信がありません。各科目とも10点満点で3科目の合計は30点なのですが、HCM市師範大学の合格点が大変高く、26.5点なのです。つまり2科目は9点で残り1科目で8.5点取らなくてはなりません。同大学の志願者は1万2000人ですが、2000人程度しか合格できません。また、南部の受験生だけでなく各地の受験生もHCM市の大学を受験します。
 ですが、私の家はまたもや困難に直面しています。大学の費用は大変高額な上、4年間かかるので、家族が私の学費を工面できないのではないかと心配しています。もし短大だったら学費も少なく在籍期間も2年間です。短大の場合、中学校で教えることができます。中学校時代の先生方はほとんど全員が短大卒でした。
 大学に合格できたら、一生懸命勉強しながら働くつもりです。もし放課後アルバイトをしたら毎月平均2500〜3300円の収入になり、生活費や家賃の一部に充てることができます。近所の先輩によると、大学では1カ月の生活費は7500円、ベトナム通貨で90万ドン相当です。この金額は私の家族にとっては非常に高額です。毎月の総収入は4500円に届きません。私は自分で自分の生活を賄えるようお金を稼ぐつもりです。もしかしたらすぐに大学で勉強せず1年間休学して働いて学費が貯まってから通学することになるかもしれません。
 私の母も教師です。働き出したのは20年も昔のことで当時は教師が不足していたので、母は中学校を卒業しただけにもかかわらず教師になることができました。でも幼稚園でしか教えられず、収入も月約4300円と非常に低額です。今は新卒の教師の初任給は月約5000円です。
 もし里親様がベトナムにお住まいだったらどんなにいいでしょう。将来里親様が定年退職されたら、そのとき私はもう働いているでしょうから、私が里親様を養って里親様の面倒を見ます。私は里親様のそばにいて里親様のためにベトナム料理を作ったりして…。私はこれからもずっとお手紙を差し上げます。里親様のおそばには里親様に助けられた小さな娘、私がいることをいつも覚えていてくださいね。
 里親様とは未だ一度もお目にかかったことがありませんが、私はいつも私たち二人がいつかきっと会えると願っています。もしできましたら私に里親様のお写真を1枚送ってくださいませんか。私はそれをとても大切にして、本物の里親様を見るように里親様のお写真を眺めることでしょう。ベトナムでは、遠く離れて暮らしている家族は日ごろ写真を送りあっているのです。
 手紙の最後に里親様の末永いご健康とご幸運を謹んでお祈り申し上げます。いつか里親様とお目にかかれますように。

(Nguyen Thi Anh Dao)

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両親のしつけに感謝

ディン・ティ・テウ

 手紙の始めに里親様のご健康とご多幸を謹んでお祈り申し上げます。特にクリスマスと西暦の新年を間近にした今、里親様とご家族様に私の心の底からの祝福をお送りさせていただきます。あらゆる人が不安や心配で心にぽっかり穴を開けてばかりいる貧しい土地、クリスマスや西洋の新年の日も他の普通の日と変わらないベトナムの田舎の村々から、これらの祝日に参加しその喜びを感じ取ることができたらいいなあと私は願っています。
 現在大学の門が開かれようとしていますが、それはまた新たな厳しい試練が私に訪れることを意味しています。私はそのときに里親様や慈善団体の皆さまの時機に見合ったご援助を受けられたらと願っています。
 家庭や経済的な理由で私の成績が低下したら里親様はうれしくないかもしれません。里親様ごめんなさい。私は生徒として、子どもとしての責任を全うしようと努力しませんでした。でもこれからも引続き尊いお心を受け取らせていただき、この困難を分かち合っていただきたいと望んでいます。
 私の大きな夢は、効果のある仕事をするために一人の良い国民となり道徳、知識を備えた人間となれるよう勉強することです。私の両親は私をとても信じていて、私が少なくとも委員会や党が証明するような素晴らしい業績を上げるだろうと信じています。
 農民は田んぼや豆畑に慣れ親しんでいるにもかかわらず、私の両親は二人とも私たち子どもの学業のことを心配してくれました。家の経済状態は非常に厳しいですが、まだ一度も両親は私たちに家の手伝いをするために学校を休ませたことはありません。私は自分の両親が私たちをきちんとした人間に育てしつけてくれたことに感謝しています。私は里親様と私の心臓に鼓動を与えてくれた両親に感謝しています。

(Dinh Thi Theu)

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女優になって恩返し

グエン・ティ・トゥイ・リエウ

 お父様のお手紙を受け取り私は幸せです。お父様が私のことを「CON(子ども)」と呼んでくださり、ご自分のことを「BA(お父さん)」と書いていらしたのでとても感動しました。
 また春がやってきました。2006年戌年です。ベトナムではこの季節、北東の風が吹き黄梅が満開になります。あっという間に旧暦12月(西洋では1月)になってしまいました。お父様に再会したときのことも夢のように過ぎ去ってしまいました。
 お父様が私にくださった手紙で、子どもたちに会うためにベトナムにまた来て、ロンアン(Long An)、ベンチェー(Ben Tre)、カーマウ(Ca Mau)にも立ち寄ると書いてありました。そこまで読んで私は自分の田舎のことを思い出しました。私はずっと帰省せず、祖母に長い間会っていないのです。祖母はもうすごく歳をとっています。もし機会がありましたら私の家族と一緒に祖母に会いに行きましょう。祖母は私が青葉奨学会や里親様の話をするのを聞きたがっています。
 私はもう16歳になり、誰かのために何かするときに自分がうれしく、さらに幸せであることを自分の心の深いところで感じ取ったり、自分のしていることを理解したりするのに十分なくらい成長しました。
 私は青葉奨学会にとても感謝しています。生徒としての道徳と自覚を積み重ねる場所なのです。私はいかなるときも奮闘し成長していかなくてはなりません。私がこんなことを言っているので里親様は驚いているだろうと思います。将来生活が安定したら他の人々を助けてあげたいと思います。私は奨学会の先生方が歩んだ道や里親様の進まれた道を歩んでいきたいのです。まだ若い間は何でもしなくてはいけません。私はそのことを理解し、たくさんの自分がやるべきことを自分で考えました。
 私ももう10年生になりました。もうみんなの間に見え隠れする7歳の子どもではありません。今は英会話を勉強しています。毎日私は午前と午後の両方学校に行きます。家から学校まで自転車で25分かかるので、休む時間が少ししかありません。
 お手紙の中でお父様は女性歌手のミー・タム(My Tam)の歌が好きだとおっしゃっていました。私も彼女の歌はすごく好きで、ミー・タムの写真も集めています。お父様がベトナムにいらしたら、写真をプレゼントしますね。ベトナムらしくて若々しい純粋さが出ていますよ! 彼女はスターにふさわしいです。
 大きくなって女優や映画監督になれたらいいなあ。そして、貧しくても勉強好きな子どもたちや、あらゆる場所にいる貧しい人々の生活が改善されるための奨学金を作るための収入を得られたら、お父様にも利益の一部をお渡しします。ワオ!これは何て素敵なのでしょう。誰かに「どうしてそのような考えを持ったのですか」と質問されたら、私は「お父様やホゥエ校長、奨学会の先生や先輩方に学びました」と答えるでしょう。でも夢はまだ夢に過ぎません。私はそれが現実になるまでずっと夢を育てていきます。両親はこのことにあまり満足していません。彼らは私がもっと自分に適した別の職業の勉強をしてほしいと思っています。将来、私が監督か女優になっていたにせよ、私は先生方や由美子さんのように日曜日には青葉奨学会に来て、子どもたちに奨学金を支給するお手伝いをしたいと思います。

(Nguyen Thi Thuy Lieu)


■今井記念海外協力基金から助成金交付

 ベトナム子ども基金は2005年、学校建設黄梅基金によりベンチェー省ホアロイ(Hoa Loi)小学校に3教室の立派な校舎を建設しましたが、予算の関係で水道やトイレなどの附帯設備を寄贈できませんでした。06年には、ホアロイ村の希望もあり附帯設備の設置を実現したいと願っていたとき、公益信託今井記念海外協力基金の助成金募集があり申請しました。同基金の諮問委員会にて審査の結果、40万円の助成金が交付されました。06年黄梅基金の予算を加えて附帯設備工事を行います。


■事務局便り

 おかげさまで2006年の活動は無事スタートいたしました。2006年青葉奨学生400名が確定し、2月26日(日)に第1回奨学金授与式が厳粛に行われました。今年の奨学生は継続344名、新規66名でした。里親と里子の組み合わせも無事終わりました。里親の皆さまの温かいご支援をあらためてお願い申し上げます。毎年里子の手紙は多いのですが里親からの手紙は少なく寂しく感じております。お忙しいこととは思いますが、簡単な手紙でも結構です。是非、里子に手紙を送ってください。お願いいたします。里親基金の収入が激減しております。ご友人、お知り合いの方でご協力いただける方がいらっしゃいましたらご紹介ください。2006年も皆さまのご協力を心からお願いいたします。(飯田)


【編集後記】第4回スタディツアーは6月に出発、ハノイ、ダナン、HCM市で奨学生との交流会を開催します。里子を激励しつつ、ベトナム縦断の旅です。帰国後の報告を乞うご期待。(望月)


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