「ベトナム子ども基金通信No.29」より


絵画大会入選作品決まる 総会で出席者が投票

ベトナム子ども基金は5月15日、定期会員総会をアジア文化会館で開き(2ページに関連記事)、議事終了後、総会出席者は、2月にホーチミン市で開催した絵画大会の作品の最終選考を行った。大賞はグエン・カィン・ティンさん(高校2年)の作品(写真)に決まり、賞状と副賞20万ドン(約1500円)が贈られる。また、同時に「2005年ベトナム子どもカレンダー」を飾る作品も紹介された。(カレンダーのお申し込みは12ページを参照)

絵画大会は2月1日、ホーチミン市の統一会堂で開催し、約240人の奨学生が参加した。第1、2次選考は4月13日に行われ、2003年12月にベトナムを訪れた「ちよだ地球市民講座ベトナム国際協力体験ツアー」参加者のうち5名が審査、40点にしぼられた。選考では、「皆一生懸命描いている」「明るい絵が多い」「しぼりきれない」などの声が聞かれた。総会出席者による最終選考では投票により入選作品18点を選んだ。
【絵画大会入選者】大賞=グエン・カィン・ティン、2位=グエン・チ・アイ・ヴァン、3=チャン・トゥイ・キム・ガン、4=グエン・ディエン・トゥ・ティン、5位=ドゥオン・ゴック・ラン、6位=グエン・チ・カム・ヴァン、グエン・チ・ビック・ホン、8位=ヴォ・トゥイ・タィン・タム、9位=チャン・ヴー・フェン・アィン、ファム・ホア・カィン・グエン、ダン・ファム・イー・ニー、レ・ラム・ゴック・チャム、13位=ファム・チャン・タィン・アン、グエン・チ・トゥエット・ニュー、ダオ・リン・トゥイ、16位=チャン・トゥイ・タィン・トゥ、ファン・チ・フゥ、グエン・ラン・アィン。
【カレンダー採用作者】グエン・カィン・ティン、グエン・チ・アイ・ヴァン、グエン・ディエン・トゥ・ティン、ドゥオン・ゴック・ラン、グエン・チ・カム・ヴァン、グエン・チ・ビック・ホン、ダン・ファム・イー・ニー、レ・ラム・ゴック・チャム、ファム・チャン・タィン・アン、グエン・チ・トゥエット・ニュー、ダオ・リン・トゥイ、グエン・ラン・アィン(以上、入選者)、グエン・チ・タィン・トゥエン、グエン・アィン・トゥアン、ゴー・ヴー・スアン・イェン、チャン・クアン・ダイ。 大賞のグエン・カィン・ティンさんの作品


2004年ベトナム子ども基金 定期会員総会記録

ベトナム子ども基金は5月15日、定期会員総会をアジア文化会館で開いた。約30名の会員が出席、議長に塩谷隆さんを、書記に今井幸恵さんを選出した。「2003年活動報告」「2003年決算報告」「2004年活動方針」「2004年予算案」の4議案はいずれも全会一致で承認された。
 議事に先立ち、ベトナム青葉奨学会のグエン・ドク・ホゥエ代表から寄せられたコメントを、子ども基金の近藤昇代表が読み上げた(4ページ参照)。また、議事終了後、里親の駒崎実さんの招きで来日した青葉の奨学生トラン・ティエン・タイン・チャンさんと一時帰国中の前駐ホーチミン市スタッフ・土肥明代さんがスピーチを行った(6ページ参照)。

1.2003年活動報告
標記につき飯田博康事務局長から概略以下の報告があり、議長から諮った結果、全員異議なく承認した。
 青葉奨学生(里子)486名に奨学金を無事支援することができました。青葉奨学会のご要望にベトナム子ども基金として貢献できましたことご報告申し上げます。会員皆様及び関係者の皆様方に感謝申し上げます。ありがとうございました。
 2003年の活動方針は、・広報活動の充実、・里子と里親との関係強化、・経費の圧縮、・10周年記念事業の準備等でした。
 ベトナム子ども基金通信は年4回の発行と内容の充実を行いました。青葉奨学会や奨学生の実情を皆様にお伝えできたことと思います。また、インターネットのホームページもタイムリーに更新でき、広くアピールできました。問い合わせや新会員入会に結びつきました。
 里子からの手紙は516通届きました。ボランティアの皆様のご協力で翻訳を行い里親へ郵送いたしました。里子486名、里親243名からするとさらなる努力が必要と感じます。
 2003年ハノイ里子訪問ツアーはSARSの流行により実現できず残念な結果になりました。
 経費は、対前年69万4986円減、対予算13万7030円減の節約ができました。
 10周年記念事業はベトナム黄梅基金の設立と2005年ベトナム子どもカレンダー制作と贈呈をテーマにしました。お蔭様で順調に準備が進められています。
 事務作業を正しくスムーズに行うため、「里子・里親データベース」作成と「里子履歴票」管理の見直しを致しました。その結果里子審査に里親の希望を反映させ、里子決定通知書の作成ができました。
 運営委員会は毎月第3土曜日に運営委員ならび会員の出席で開催されました。
 里子の手紙翻訳はボランティアの方々のご協力で大変スムーズに行われ感謝いたしております。

2.2003年決算報告
 標記につき飯田事務局長からの報告と南康雄監査から監査報告があり、議長から諮った結果、全員異議なく承認した(収支計算書は通信28号を参照〈インターネット版には非掲載〉)。

3.2004年活動計画
 ベトナム子ども基金が受け持つ青葉奨学生(里子)468名が安心して学業に精進できるよう奨学金支援を継続します。
 2005年6月に10周年を迎えるにあたり10周年記念事業を成功させ、青葉奨学会の目的達成のためさらなる貢献を行いたいと思います。会員ならび関係者皆様の温かいご支援、ご協力をお願いします。
 特に10周年記念事業には青葉奨学会が大変期待しております。ベトナム黄梅基金は農村・漁村・山岳地域の恵まれない子どもたちに奨学金を支援いたします。奨学金は基金の利息から支援し継続的に安定支援が実現できます。
 2005年ベトナム子どもカレンダーは青葉奨学生が描いた絵から制作し、青葉奨学生全員にプレゼントいたします。会員皆様にカレンダーを購入していただきカレンダー制作費とさせていただきます。皆様の温かいご支援をお願い申し上げます。
 ハノイ里子訪問ツアーを7月18日から22日に行います。里子ならび里子の家族や学校関係者との交流会を行います。是非皆様のご参加お願いします。
 里子全員に青葉奨学会宛のシールと切手を貼った封筒2通を支給しました。2004年から里子の手紙は青葉奨学会へ直接郵送されます。里親様からの手紙をよろしくお願いします。
 里子の手紙の翻訳ボランティアの皆様には大変ご苦労をお願いいたしております。ベトナム子ども基金活動で欠かせない重要なことです。ご無理申し上げますが今後ともよろしくお願いします。
 定例運営委員会は毎月第3土曜日午後2時から5時までアジア文化会館で開催しています。会員皆様のご出席をお待ちしております。
 ホーチミン日本人スタッフは3月から工藤由美子さんが業務を開始いたしました。土肥明代さん2年間ご苦労様でした。感謝申し上げます。

4.2004年予算案
 標記につき飯田事務局長から報告があり、議長から諮った結果、全員異議なく承認した(予算書は通信28号を参照)。

以上で議事はすべて終了し、チャンさんと土肥さんがスピーチを行った。その後、総会出席者全員で、絵画大会の最終選考を行った。

カット:かいせまうし


総会に寄せて

希望の種

グエン・ドク・ホゥエ

はじめに、この場をお借りいたしまして、ベトナム子ども基金の里親様に心からお礼申し上げます。また、皆様が、私の活動に賛同し、ベトナムの子どもたちをご支援くださいますことは、大きな喜びです。各奨学生の父母を代表いたしまして、皆様にお礼を申し上げます。
時の流れは本当に早いものです。現在、ベトナム子ども基金は、468名の学生に奨学金を支給しております。これまでに、小学校と中学校を4校建設してくださいました。
 子ども基金には、たくさんのご支援を賜りました。貧しいベトナムの子どもたちが、学校で勉強ができるように条件を整えてくださり、地方に住む子どもたちに希望を与えてくださいました。皆様からの奨学金は、子どもたちにとって大きな激励であり、そのお金で、子どもたちは教科書やノートを購入し、学費を払うことができます。もし、皆様からのご支援がなかったならば、子どもたちは勉強を続けることはできないでしょう。
子ども基金には、カーマウ省、ベンチェー省、ビンフック省、ロンアン省の学校の子どもたちをご支援いただいております。地方においては、道路が整備されていないため、乾季は道がでこぼこで、雨季には道が泥まみれになってしまいます。そのため、子どもたちは、長い間学校を休まなければならなかったのです。皆様が、これらの土地に建設してくださいました学校は、何十年後も存在し続け、これらの地方の子どもたちに、教育の明るい光をもたらすことでしょう。皆様に支援いただいた地方の人々は、遠い日本にいる皆様のことを決して忘れることはないでしょう。皆様の活動に、深く感謝いたします。
 また、子ども基金には、黄梅奨学金にもご賛同いただき、現在は、18基金ご協力いただいております(1基金:約4000万ドン=30万円)。
支援者から一定の金額を銀行へご入金いただき、毎年発生する利息を引き出し、奨学金として支給するという新しい試みです。当初は、銀行の利息が1年で8%でしたが、現在は少し利率が下がってしまいました。しかし、比較的良い利率を保っているので、問題はありません。この黄梅奨学金は、永続的に存在し、ベトナムの学校教育に、大きく貢献してくれるものと信じています。
 子ども基金の協力は、本当に大きいものです。皆様に心から感謝いたします。皆様からの拠出金は、正当な目的のために使うことをお約束いたします。
 私たちがまいた希望の種は、やがて芽を出し、大きく成長し、ベトナムにたくさんの素晴らしい結果をもたらすことでしょう。また、日本とベトナムの友好に、大きく貢献してくれると信じています。
 末筆ながら、皆様のご健康、ご幸福、そして、子ども基金の益々の発展を心よりお祈り申し上げます。

(ベトナム青葉奨学会代表・Nguyen Duc Hoe)


奨学生としての学生生活

手紙を通じて結ばれた強い絆

トラン・ティエン・タイン・チャン

 7年以上も前のことではありますが、私はあの日のことをはっきりと覚えています。初めて奨学金をいただけるという知らせを受けた日、涙が出るほどうれしかったです。そのころ、私の家族はとても貧しかったです。父は重い心臓の病気でした。その大変な時期に奨学金をいただくことができたのです。それ以後、安心して学校を続けることができました。
 私だけでなく、1000人を超える他の学生の置かれている状況は一人ひとり異なっています。しかし、ひとつの点で共通しています。それは、困難ではあるけれども、その困難を乗り越えるため、皆様が手を差し出しご援助くださったということです。そして、里親の皆様の愛情に満ちたお手紙を受け取ったとき、私たちの喜びはさらに大きくなります。
 里親様が遠い所から、大きな愛と強い関心を持って私たちの様子を尋ねてくださり、本当に言葉で表せないほど感動します。このようにお手紙を通じてお会いすることができるからこそ、里親様と学生の絆はより固く結ばれていくのです。
 私たち奨学生は、里親の皆様を、私たちを見守り育ててくれる第二の父、第二の母と感じているのです。特に、私にとって駒崎實様は、本当に第二のお父様、心のお父様になりました。これまで、駒崎様は私をご援助くださり、何度も手紙を書いて近況を尋ね、励ましてくださいました。そして、本日、日本で子ども基金の皆様方にお目にかかる機会を作ってくださいました。これは、たとえ夢の中でさえ 考えることもできなかったことです。
 子ども基金、青葉、そして駒崎實様のとても大きなご恩に対する心からの感謝の気持ちをどう表したらいいのかわかりません。ただ、「本当に、本当にありがとうございました」と申し上げることしかできません。
 重ねて、すべての青葉奨学会の奨学生に代わり、子ども基金の皆様、青葉の先生方、ホゥエ先生に心からお礼を申し上げます。ありがとうございました。

(国家自然科学大学4年・Tran Thien Thanh Trang)

チャンさんからの初めての手紙を読み上げる駒崎氏


■ 青葉での勤務を終えて

私がベトナムに残せるもの

土 肥 明 代

 ベトナム青葉奨学会は、全国約1200人もの奨学生を抱え、奨学会としては最大規模です。しかし実際に事務局で働いているのは、ホゥエ代表のほか、日本人スタッフを含め3人だけです。その他、ボランティアの方々、元奨学生や現奨学生たちが時間の空いているときに手伝ってくれます。青葉の仕事は、ほとんどが事務作業です。日本人スタッフは主に、日本との連絡、その内容をベトナム側に伝えること。日本人来訪客の接待、ベトナム語から日本語への翻訳作業などです。日本からのお客様が地方に行く仕事があれば同行させていただきますし、学校建設の依頼があれば、建設地を選ぶためホゥエ代表と視察にも行きます。
 日本人スタッフの仕事は、あくまでもベトナム人スタッフ2人のサポートです。2人の努力のおかげにより、青葉は成り立っています。私は、ベトナムの子どもたちと一緒に過ごせるような仕事を希望していたため、どこか想像していたのとは違うなというのが実際にはありました。また、自分の仕事がすぐ結果として現れるわけではないため、自分が子どもたちに役立っているのか、里親さんに役立っているのか、どんな意味があるのか、見えなくて辛いこともありました。
 そんなとき、里子や里親さんから温かい言葉をもらえると、自分の仕事の意味に改めて気づかせてもらうことができました。通訳を任されると大変ですが、里親さんと里子の仲介役になる実感がありました。
 ベトナムで働き始める前、奨学金つまりお金をあげるのは、日本人のおごり、持つものが持たないものへあげるというおごりなのではないか、という思いもありました。しかし実際には、ベトナムでは、持つものが持たないものにあげることは普通のことで、それが助け合いであり、美しいものとして考えられています。
 奨学生は、全員が絶対にそうだとはいえませんが、とても素直にありがたく受け入れていて、奨学金をもらっていることを誇りに思っています。青葉の奨学生の中から優秀な学生が出ればすごく嬉しいし、それで私たちの仕事は十分成功なんだと、その成功に自分が微力ながら携われたことを誇らしく感じられるようになりました。
 青葉での2年間で何か残したい、土肥明代がやったという仕事を何か残したいと思っていました。しかし2年を終えた今、それができなかったと感じています。とても残念です。
 私はこの後またベトナムに戻り働く機会を得ました。今後は青葉の対象ではなかった、学校に通うことも難しい子どもたち、特に初等教育も受けられない状況にある子どもたちとかかわれたらと思っています。そしてその中で、私の仕事と言えるものを残したいと願っています。

(前駐ホーチミン市スタッフ・どひ あきよ)


■新・駐HCM市スタッフ紹介

ベトナムにじっくり触れながら

工 藤 由美子

 私が、初めてベトナムを訪れましたのは、今から5年前のことになります。その後もベトナムという国に関心を持ち、ご縁がございまして、何度かベトナムを訪れました。大学4年生の時に、ベトナムへの語学留学を決意し、2年間の社会経験を経て、2002年ベトナムへ渡ったしだいでございます。
 以前より、ベトナム語を修得した後には、現地での仕事を強く希望しておりました。企業での仕事というよりは、ベトナム語とべトナムでの生活を生かし、現地の方々と深く触れ合いながら、何か日本とベトナムの役にたてるような仕事ができればと思っておりました。友人の紹介で、前任の土肥明代さんと知り合い、ご縁がございまして、現在、当事務局でお仕事をさせていただております。
 当事務局に着任してから、早いもので約4か月が経ちました。周りのベトナム人スタッフに支えられながら、楽しくお仕事させていただいております。
 一番感心したことは、実にたくさんのベトナム人ボランティアの方々が、協力してくださっているということです。ボランティアスタッフの力の大きさを実感させられました。そのキャラクターは実に様々で、本当に興味深いです。
 つい先日も、ホーチミン市在住の子どもたちを集めて奨学金を支給したのですが、日曜日にもかかわらず、たくさんのボランティアスタッフが手伝いに来てくれました。役割を決め、テキパキと仕事をこなす彼らの姿は、本当に頼もしかったです。その中には、元青葉奨学会のスタッフもいて、彼女は、私のことをとても心配してくれます。よく電話をかけてきては、何か手伝うことはないかと、私を気遣ってくれるのです。自分の仕事もあるにもかかわらず、どうしてこんなに人のために一生懸命になれるのかと、正直驚いています。もちろん、考え方の違いもありますし、戸惑うことも少なくはありませんが、この仕事を通じて彼らに出会えたことを本当に嬉しく思っています。彼らに、忘れてはいけない一番大切なことを教えられているような気がします。当たり前のようで、簡単にできそうなことほど、実は一番難しかったりするものです。
 ベトナムにおける子ども基金の活動に、微力ながらお手伝いさせていただけることを嬉しく思います。ベトナム語、ベトナムの文化にじっくり触れながら、少しでもベトナムの将来を担う子どもたちのために、協力させていただきたいと思っています。
 機会がございましたら、里親の皆様には、是非ベトナムを訪れていただきたいと思います。
 今年の7月に、子ども基金主催の里子訪問ツアーがハノイで行われます。約10名の里親様が参加を予定されており、現在は、そのための準備を進めているところです。現地での任期が終わるまでに、できるだけ多くの里親様にお会いできることを願っております。また、皆様に、少しでもベトナムが身近な存在として感じていただけるように努めてまいりますので、よろしくお願いいたします。

(駐ホーチミン市スタッフ・くどう ゆみこ)


■里子からの手紙

自立の道へ一歩前進

ヴォー・フォン・チ

 私はロンアン県 Buc Hue 市の出身です。現在はホーチミン師範大学の1年生です。2004年2月1日、里親の皆様が援助してくださっている青葉奨学会の新年式が、統一会堂で行われ、私はその式に参列いたしました。
 その式に参列できたこと、私は本当に光栄でした。里親様や先生、皆様のお心に深く感動いたしました。私は、青葉奨学会に物質面だけでなく精神面でも多大なご援助をしていただいてきました。
 式では、厳しい境遇を乗り越えて一生懸命勉強した先輩たちが、もうすぐ日本に留学するという話を聞かせてもらいました。それは本当に光栄なことで、非常に幸せな出来事です。先輩たちは、後に続く私たちにいいお手本を示してくれました。
 故郷の家を離れて新しい生活を始めたばかりの、ホーチミン市に住んで勉強し始めたころのことですが、私は大きな環境の変化に何回となく目覚め、見慣れない街に迷い込んでしまったような孤独感におちいりました。初めのころ新しい環境に上手く馴染めなかったため、まもなくして私は住む場所を変え、自分ひとり都会で自活する道を選びました。もう、泣いてばかりいた当時のことは忘れました。現在は自信を持って生活しています。実家から離れていても、私のことをいつも心配し気遣う両親の愛を感じます。両親は、私が熱心に勉学に励むことや、信念を持っていつも頑張ることを期待しています。両親のためにも私の将来のためにも、そしていつも私のことを気遣ってくださり、思いやりとご援助をしてくださる方々のためにも、私は常に向上心を持って頑張ります。
 特に里親様には、非常に遠くにお住まいでまだお会いしたことがないというのに、いつも私を勇気づけてくださいますし、ベトナムの子どもたちを愛してご援助とご配慮を寄せてくださることに、私は言葉が出ないほど感激させられます。心から深くお礼申し上げます。私は里親様のご厚意に、しっかり応えることをお約束いたします。
 2、3年後、私は先生になっているでしょう。この日を迎えるにあたって、私のことをいつも何かと気遣い、温かく見守り応援してくださった日本の里親様のこと、私は心の中で父親のように感じてきました。里親様、ベトナムの若者たちは学問が大好きです。そして前向きで上昇志向がとても強いです。子どもたちみんなが、その志をなくさないように働きかけてくださることを、私は強く望みます。私たち子どもは、皆様方の応援してくださる何事にも喜んでしっかり応えるでしょう。
 新年の初めに、里親様にはご活躍とご多幸のよい一年でありますよう心からお祈り申し上げます。

(Vo Phuong Thy)

*    *    *

楽しい思い出を胸に難関突破へ

ゴック・アィン

 里親様、引き続き私に奨学金をお送りくださり本当にありがとうございます。名簿の中に自分の名前を見つけた時、私は本当に嬉しかったです。里親様、どうもありがとうございました。今年また私は奨学金授与式のときに統一会堂に行くことができました。
 奨学会は絵画コンテストを行いましたが、私は絵の才能がないので私の描いた絵はまるで子どもが描いたような絵でした。その日私は私と同じ12年生の友人と知り合いました。その子の境遇も本当に偶然なのですが、私と同じでお父さんがいないのでした。この友人は絵がとても上手でまた話もとても面白いです。気の合う友人と知り合うことができて本当に良かったです。
 今年は私が高校に在学する最後の年ですが、私は一番楽しい年でいろいろなすばらしい思い出ができた年だと思っています。里親様ご存知でしたか、この前のテト(旧正月)の前に私の学校ではキャンプを行いました。私はキャンプがとても好きなので、キャンプの日が早く来ないかとずっと思っていました。キャンプの日は、とても楽しかったです。私は2つの運動ゲームに参加しました。負けてしまいましたがとても楽しかったです。夜になっても私たちのクラスは丸くなって立ち、ずっと遊びつづけ解散することができませんでした。こんな風に大勢で遊んだのは久しぶりだったのでこの夜は本当に楽しかったです。
 今、私のクラスはふざけた手紙が教室全体を沸かせています。もちろん勉強が第一であることに違いはありませんが。
 今年、各教科ともノートをたくさん取らなくてはなりませんが、それは内容が昨年よりずっと多いからです。前期、私は非常に優秀な生徒の称号を得ることができましたが成績は昨年より悪かったです。このことでとても悲しくなりました。この後期はもっとたくさん努力しなくてはなりません。もうすぐ私は大切な試験を続けざまに迎えなくてはなりません。その中で大学入学試験は私にとって一番重要で一番緊張するものです。今私はもうすぐ行われる試験でどの学校を選ぼうか思いあぐねているところです。
 里親様の手紙を受け取ったとき私はとても嬉しかったですが、里親様がベトナムにいらっしゃると知り、さらに嬉しくなりました。ということは私はもう一度里親様にお目にかかれるのですね。お嬢様やお姉様方はどなたか里親様と一緒に来られますか? 里親様がベトナムにいらっしゃったら、里親様とご家族様を私の家にご招待申し上げます。私の母と祖父母が里親様とご家族様にお目にかかって私へのご援助に対するお礼を申し上げたいと思っております。
 手紙の最後に里親様とご家族様がいつも楽しく何事も思い通りになりますようお祈り申し上げます。

(Ngoc Anh)

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夢は日本訪問

クアン・チャウ・ゴック・マイ

 手紙の始めにお二人の里親様に謹んでご健康をお伺いさせていただきます。最近里親様と奥様はお元気でいらっしゃいますか? 私の家族は変わりなく元気です。私の両親も里親様ご夫妻のご健康を謹んでお伺い申し上げます。
 さて、今年も私は里親様ならびに青葉奨学会の先生方のご援助を引き続き受けられることになりました。私が青葉奨学会を知ってからもう9年が経ちました。またその時間にほぼ相当する期間、肉親ではないけれども私を心から愛してくださる方々の精神的物質的援助を私は受けてまいりました。人生における私のあらゆる努力と頑張りは、私の両親の関心のみならず、里親様や青葉の先生方のご期待するところだと思います。私自身はまだたくさん至らない点がありますが、自分が今まで受けてきたあらゆるものにふさわしいと言えるよう全力を尽くして頑張りたいと思います。
 2004年2月1日に奨学会は1回目の奨学金授与式を統一会堂で行いました。午前中私や友だちらは奨学金授与式に出席し、午後は絵画コンテストでした。先生方が画用紙と色鉛筆をみんなにを配ってくださり、それぞれみな自分の好きな絵を描きました。昨年も統一会堂で奨学金授与式が行われましたが、私は再び統一会堂の中のいろいろな場所を見ることができました。ベトナムのトイチェー新聞にもこの奨学金授与式のことが載ったのですよ、里親様!日本の新聞や雑誌に奨学金授与式のことは載ったのでしょうか。
 里親様はご存知かどうか分かりませんが、このところベトナムでは鳥インフルエンザが流行っています。日本ではこの病気は流行っていますか。現在ベトナムでは(正確にはホーチミン市では)鳥類の肉も卵もなくなってしまいました。動物園も閉園になってしまったのです!
 先日、私はインフルエンザに罹ってしまい、両親は鳥インフルエンザに罹ったのではないかと大変心配しましたが、幸運なことに結局普通のインフルエンザでした。私は新聞で読んだのですが、中国ではスズメが空を飛んでいる最中に突然雨のように降ってきてとてもたくさん死んだそうです。ベトナムでは幸運なことにそのようなことはありません。里親様方がお住まいの場所では鳥インフルエンザの影響が何かありますか? 今でも里親様方はお庭で野菜を作っていらっしゃいますか? たくさんの種類の野菜を作られていますか? 私も家の周りに木や野菜を植えるのはとても好きですが、今は団地に住んでいるので植物を植えることは許されていません(植える場所もないのです)。家の周りにたくさん木や野菜があると、空気がほんとうにきれいで暮らしもより快適に感じるのではありませんか。
 最近の私の勉強は以前と変わりありません。毎日学校への行き来はバスを使っています。昼は学校に残り、夕方になってようやく家に帰ってきます。朝は普通5時半に家を出て、16時か17時に家に戻ってきます。今期、私は9科目近く勉強していますが、私の専攻に少なからず関連のある科目です。今期が終わると、私は専門課程の段階が始まります。財政分野に関して専門的に深く勉強するのです。そしてあと2年余りで私は学校を卒業し、正式に収入を得るために働き始めます。里親様、嬉しいですか? 将来私が働くようになって十分な貯金ができたら、里親様のお宅を訪ねに日本へ行きます。そして里親様方が今生活されているところにすべて行ってみます! 里親様、素敵でしょう? 里親様方、私がそちらへ里親様をお訪ねするまで、ずっと元気でいてくださいね。
 手紙が長くなりましたので、ここで筆を置かせていただきます。里親様方がいつも、いつまでもお元気でいらっしゃり、何事も思い通りになり、楽しいことをたくさん見つけられますようお祈りしております。私の両親からも里親様のご健康をお祈りする言葉をお送りさせていただきます。

(Quan Chau Ngoc Mai)


事務局便り

 会員皆様の温かいご支援をいただき、お蔭様で2004年の活動が順調に行われています。7月18日から7月22日の5日間、「第3回里子訪問ツアー」が行われます。青葉奨学会並びにハノイ奨学会の皆様にご協力をいただき「ハノイ在住奨学生37名との交流会」が準備されています。参加会員皆様にとって、楽しく意義ある交流となるよう、期待しております。
 今年は里子からの手紙が多く届いております。里親の皆様には里子の様子や里子の気持ちがお伝えできていることと思います。里子は里親の皆様の手紙を心待ちにしております。お忙しい日々と思いますが里子への手紙をお書きくださるようお願い申しあげます。
 日々暑くなります。会員皆様のご健康を心よりお祈り申しあげます。(飯田)

編集後記】「ベトナム子ども基金通信」は今号から本文の文字を少し大きくするなどレイアウトを変更しました。1面の題字は、ベトナムを南部の沖合から俯瞰したS字をイメージしています。子ども基金および青葉奨学会の連絡先は12面に掲載しています。今後も読みやすい紙面の編集、里子の様子が伝わる通信の作成を心がけます。皆さまのご意見をお待ちしております。(望月)


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